社会人の留学先として今、「イギリス」が人気を集めています。
イギリスには、アメリカやオーストラリア、カナダなどとは異なる特徴があり、社会人留学として学べることが潤沢です。社会で活躍できる語学を学んだり、国際的な仕事をしたい方には最適といえるでしょう。
今回は、そんなイギリス留学のメリット・デメリットをそれぞれ5つずつお伝えしていきます。両者を知っておくことで、留学で得るものも多くなるため、ぜひ最後までご覧ください。
イギリス留学の5つの『メリット』
イギリス留学のメリットは次の5つに分類できます。
- 国際基準の英語が学べる
- 教育水準は日本以上で学べることが多い
- 大学卒業までの期間が短い
- 日本人留学生が少なく本気で学べる
- たくさんの観光地を見て回れる
アメリカやオーストラリアへの留学とは一味違うため、しっかりとそのメリットを把握してから留学しましょう。
メリット(1)国際基準の英語が学べる
イギリス留学のメリットの一つは、国際基準の英語が学べるという点です。
日本はアメリカの影響を強く受けたがために、国際的な言語の潮流はアメリカ英語だと思っている方も珍しくありません。しかし、国際的な現場、特に世界会議などではイギリス英語を中心として議論が進みます。
(以下引用)
各国代表が集う世界会議などでは、語彙スペリング共にイギリス英語を用います。(中略)英語を公用語としている国のほとんどはイギリス式の英語を使用し、アメリカ式の英語を使用している国はフィリピンやリベリア共和国など、少数の国々のみです。
(引用元:ロンドン留学センター)
カナダやオーストラリアでも英語が用いられますが、この場合はアメリカ式とイギリス式の混合となり、また印象が異なります。イギリス英語が使用される国は広く、英語を公用語とする国家のほとんどは英国式です。
つまり、イギリス留学を行うということは、国際的で正当な英語が学べる大きなチャンスだといえるでしょう。イギリス英語をしっかりとマスターしておくことで、英国式が通用するヨーロッパ諸国はもちろん、アフリカやアジア地域に訪れるときも役立ちます。
また、将来は国際的な環境で働きたい、広く世界中で活躍したいという方にイギリス英語がおすすめです。
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メリット(2)教育水準は日本以上で学べることが多い
イギリス留学の2つ目のメリットは、教育水準の高さです。最近では日本も教育に力を注ぎだしていますが、イギリスではそれ以上となり、より高レベルの勉強ができます。
イギリスでももっとも学識の高い学校はオックスフォード大学です。リサーチ企業であるクアクアレリ・シモンズ(QS)の調査によると、2020年の世界大学ランキングで、オックスフォード大学が4位に輝いています。
また、7位にケンブリッジ大学、8位にユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、9位にはインペリアル・カレッジ・ロンドンが続くなど、イギリスの大学が上位を占めていることが分かるでしょう。
(参考:高校生新聞ONLINE)
日本もランクインはするものの、トップの東京大学でさえ22位の位置づけです。これを見ると、イギリスの教育水準の高さが分かります。
もちろん、そうした世界でも一流の大学を出ることができれば、自分自身のステータスにもなります。また、イギリスの有名大学のほとんどが国公立のため、アメリカ(有名大学は私立が多い)に比べて費用が安く済むのもメリットです。
メリット(3)大学卒業までの期間が短い
イギリス留学の最大のメリットともいえるのが、この大学卒業までの期間が短いことです。
イギリスの大学では、「Bachelor(学士)」と「Master(修士)」の2種類の学位があります。日本の4年制にあたるのがBachelorで、2年制大学院がMasterです。
イギリスの場合は、このBachelorを3年、Masterを1年で習得できます。大学院まで通うと、日本よりも2年短くて済むので、お金と時間のコストを効率化できることが魅力です。
しかし、専攻する内容や大学がある地域によっては期間が異なることもあるので注意してください。スコットランドの大学は日本と同じ期間が設定されていることが多いです。また、MBAコースもこの限りではありません。
メリット(4)日本人留学生が少なく本気で学べる
イギリス留学では、日本人留学生が少ないということもメリットの一つです。一見すると、同郷の人が少ないために心細くなってしまうようにも思えます。しかし、「寂しくなれば日本人のもとへ」という甘えがなくなるため、学ぶ環境としては最適といえるでしょう。
周りに日本語が話せる人が少なければ、いやでもイギリス英語を使って生活をしていかなければなりません。そうした厳しい環境でこそ自分自身が鍛えられ、帰国したときには大きな学びとなっているはずです。
また、周囲に日本人が多ければ、人はどうしても楽なほうへ行こうと日本人同士で群れようとします。しかし、せっかくイギリスまで来て日本人同士でグループを組んでいては本末転倒です。
イギリスには世界各地から様々な人が集まるため、普段接することのない人とコミュニケーションをとることが重要でしょう。今まで見たことも聞いたこともない文化や人の話に触れることもイギリス留学の醍醐味です。
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メリット(5)たくさんの観光地を見て回れる
イギリス留学のメリットは、たくさんの観光地を見て回れるということです。
ヨーロッパ圏内であるイギリスは、各国へのアクセスも簡単で、気軽に各地へ出向くことができます。たとえば、留学先で仲良くなった友人の故郷を訪れてみるのも良いでしょう。
多くの観光地を訪れるメリットは、観光や休息といった意味も大きいですが、それよりも自分自身の知見・経験になることも見逃せません。ときにはイギリスの地を離れ、様々な場所でものを見て、人と話し、そして心で感じることができれば、語学を学ぶこと以上のものが得られるはずです。
せっかくイギリス留学で英語を身につけたのなら、それを活用できるヨーロッパの各地に足を運んでみてください。最近では、イギリスにも多くのLCC(格安航空会社)が就航し、低コストで海外にいくことが可能です。
イギリス留学の5つの『デメリット』
イギリス留学にはメリットばかりではなく、当然、次のようなデメリットもあります。
- 濃い味付けが好きな人には食事が合わない
- イギリス英語とアメリカ英語の違いに戸惑いやすい
- 留学する期間や学部によっては学費が高くなることも
- 緊急時に帰国しにくい
- ブレグジット(イギリスの欧州離脱)の影響を受けやすい
デメリットの部分は留学におけるリスクにもつながるため、事前に必ずチェックしておいてください。
デメリット(1)濃い味付けが好きな人には食事が合わない
イギリス留学の1つ目のデメリットは、料理の味付けが薄い(ことが多い)ということです。
日本ではパブなどに行くと、英国式のフィッシュアンドチップスが食べられます。しかし、味付けが何となく薄いな、と感じた方も多いのではないでしょうか。本場の料理も同じで、イギリス料理はシンプルを良しとし、味付けも薄いものが少なくありません。
もちろん、「味が薄い=不味い」ではありませんが、濃い味付けが好きな方やそれに慣れている方にとっては、食事が舌に馴染まないということも出てくるはずです。
また、料理のデメリットは軽視してはいけません。これから毎日、しかも長期間に渡って口にするものなので、体に合わないとなると体調やモチベーションにもかかわってきます。
対処法としては、調味料を活用することがおすすめです。日本から何点か用意して持っていく、もしくは現地のスーパーなどで調達するとよいでしょう。
デメリット(2)イギリス英語とアメリカ英語の違いに戸惑いやすい
イギリス留学のデメリットは、イギリス英語に馴染むまで時間がかかるということです。また、アメリカ英語との違いに戸惑うことも多いでしょう。
アメリカ英語はイギリス式が基本となっているため、構造そのものはよく似ています。しかし、英語の慣用表現や発音など大きく異なる点もあり、何度もイギリス英語を聞いて体に馴染ませる必要があります。
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イギリス英語とアメリカ英語は、文法の違いのほか、次のようにスペルや発音にも大きな差があるので注意してください。
言葉の意味や発音 |
イギリス英語 |
アメリカ英語 |
それぞれの違い |
気付く |
realise |
realize |
スペルの違い |
中央 |
centre |
center |
スペルの違い |
色 |
colour |
color |
スペルの違い |
can’t |
カント |
キャント |
発音の違い |
letter |
レター |
レダー/レラー |
発音の違い |
1階 |
ground floor |
first floor |
意味の違い |
薬局 |
pharmacy |
drug store |
意味の違い |
サッカー |
football |
soccer |
意味の違い |
タクシー |
taxi |
cab |
意味の違い |
たとえば、「can’t」の発音は、アメリカ英語で「キャント」です。しかし、イギリス英語だと明らかに「カント」と聞こえます。この場合の違いであれば、文法の基礎を知っていれば文脈から「カント=can’t」だと判断できます。
一方、意味の違いやスペルの違いについては、事前にしっかりと調べておかなければ現地で戸惑うことも多くなるはずです。
イギリス留学を行う前は、こうしたアメリカ英語との違いについてもある程度勉強しておくべきでしょう。
デメリット(3)留学する期間や学部によっては学費が高くなることも
イギリス留学では、大学の学部や留学期間によって学費が高くなってしまうこともあります。
国内の有名大学の多くは国公立ですが、学生の出身地によって学費が大きく異なります。イギリス国内やヨーロッパ圏内から入学する場合に比べ、インターナショナル(他国出身者)は倍の授業料が発生することも珍しくありません。大学によっても異なるので、事前によく情報を調べておきましょう。
高額な学費対策としては、まず円高を利用することが挙げられます。円高になるほど英国通貨ポンドが安く買えるため、学費を抑えることができるからです。
たとえば、著しいポンド高・円安が進んだ2007年は、1ポンド=250円付近まで到達したこともありました。しかし、その後、民主党が政権を奪取し円高が進むと、2011年には1ポンド=120~130円まで急落したのです。
もちろん、250円で1ポンドを購入する(両替する)より120円で買う方が安く済むため、イギリス留学が有利になります。
また、学費を抑えるには奨学金を利用することも有効な手の一つです。各大学によって奨学金が用意されていることもあり、事前にしっかりと確認しておきましょう。
デメリット(4)緊急時に帰国しにくい
イギリス留学のデメリットには、緊急時に帰国しにくいという問題が挙げられます。
日本とイギリスとの距離は約9,000kmも離れており、なかなか簡単に移動できる距離ではありません。仮に、家族や知り合いの身にアクシデントが起こったときも、帰国まで時間がかかってしまいます。
一方、「滅多なことでは帰れない」という緊張感がプラスに作用することもあるでしょう。「想像した以上に大変」「思っていた留学のイメージと違った」という場合でも、なかなか簡単に帰れないということになれば、「頑張るしかない」と覚悟を決めることができます。
デメリット(5)ブレグジット(イギリスの欧州離脱)の影響を受けやすい
イギリス留学の最後のデメリットは「ブレグジット(Brexit)」です。
2019年8月の執筆時点で、イギリスはEU(ユーロ)から離脱することが濃厚となっています。この欧州離脱をブレグジットといいますが、留学生にも影響を及ぼす可能性も否定できません。
学費の値上がり、ビザ取得が困難になるなど、欧州離脱によって様々な影響が表れるはずです。
現在のところブレグジットの予定日が延長されているものの、離脱する可能性は極めて高いと思われます。
対策としては、イギリス以外の複数の留学候補地を選んでおくことです。ブレグジットの悪影響でイギリス留学が困難になったときも、いつでもほかの留学先に行けるように準備しておきましょう。
まとめ
イギリスに留学することを考えるだけでワクワクする方も多いのではないでしょうか。ヨーロッパの国々との距離の近さや、国際的な教育水準の高さなど、イギリスには魅力がたっぷりです。
しかし、イギリス留学のメリットばかりではなく、しっかりとデメリットにも目を配っておきましょう。デメリットを知ることは、未来のリスクを緩和することにもつながります。
メリットとデメリットの両面を理解し、ぜひイギリス留学を最高のものにしてください。